「いいえ」と藤尾は疾く抜け出した香のなお余りあるを、急須と同じ色の茶碗のなかに畳み込む。
黄な流れの底を敲くほどは、さほどとも思えぬが、縁に近くようやく色を増して、濃き水は泡を面に片寄せて動かずなる。
母は掻き馴らしたる灰の盛り上りたるなかに、佐倉炭の白き残骸の完きを毀ちて、心に潜む赤きものを片寄せる。
「いいえ」と藤尾は疾く抜け出した香のなお余りあるを、急須と同じ色の茶碗のなかに畳み込む。
黄な流れの底を敲くほどは、さほどとも思えぬが、縁に近くようやく色を増して、濃き水は泡を面に片寄せて動かずなる。
母は掻き馴らしたる灰の盛り上りたるなかに、佐倉炭の白き残骸の完きを毀ちて、心に潜む赤きものを片寄せる。