結局、先の品川は大胆不敵な偽物であって、彼奴こそ当の殺人者であることが明かになった。
本物の品川は詳細なる陳述、並に証拠物件の提出によって、(証拠物件というのは、例の幽霊男の写っている夕刊の切抜、青木から品川に宛てた事件に関する手紙、愛之助の書斎で発見した日記帳などであった)警察当局者も、この摩訶不思議を信じない訳には行かなかった。
そこで、青木の日記帳で分った池袋の怪屋を検べたり、麹町の例の淫売宿の主婦を叩いて見たり、出来る限りの捜査を続けたが、幽霊男の方ではそんなことはとっくに予期していた所、どこを探しても、髪の毛一本の手掛りさえなかった。