令嬢自身も、いつもは官邸の方にいて、お父さまの身のまわりなど気をつけていて上げる分相応の役目を持っていた。
暫くすると、どこから探し出して来たのか、美禰子さんは、ビスケットの鑵とお茶の道具を持って帰って来ると、乞食娘を、汚いとも思わず、立派な椅子にかけさせ、その前のテーブルに、ビスケットの鑵を置いて、奇怪千万なお茶の会を開いたのである。
乞食はよっぽど腹が減っていたと見えて、早速ビスケットを五つ六つ一かたまりに頬張ったが、その時、額に垂れ下っていた髪の毛を、うるさそうに掻き上げたので、初めて彼女の顔がハッキリ眺められた。