夏目漱石 『虞美人草』 冬は五年の長きを厭わず。 淋しき花は寒い夜を抜け出でて、紅緑に貧を知らぬ春の天下に紛れ込んだ。 地に空に春風のわたるほどは物みな燃え立って富貴に色づくを、ひそかなる黄を、一本の細き末にいただいて、住むまじき世に肩身狭く憚かりの呼吸を吹くようである。 夏目漱石の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア