大川博士と云えば、十年程以前までは、大学教授として、世にも聞えた人であったが、教職を辞して、一種奇妙な研究に没頭しているという噂が伝わったまま、世間から忘れられてしまった。
どこで何をしているのか、誰も知るものはなかった。
彼の研究は、人間の容貌を随意に変える方法つまり「人間改造術」とも称すべきもので、医学と美容術を混ぜ合わせた一種異様の題目であったが、この気違いめいた仕事を、気味悪がって、顧みる者もなかった時、ふと博士と知合い、その手腕を信じ、博士を助けて「人間改造術」を完成せしめ、大芝居をうって見ようと、途方もない考えを起した男があった。