むこうの草が、湯気を通して見るように、ゆらいでいるのが不思議だった。
さち子はだんだん夢見ごこちになっていった。
自分の掘っ立て小屋から遠く遠く離れてしまって、もう帰るにも帰られないという考えが、彼女の小さい胸をからっぽにして、フワッとからだが軽くなるような、これまでまったく経験したことのない一種異様の情感がわいてきた。
むこうの草が、湯気を通して見るように、ゆらいでいるのが不思議だった。
さち子はだんだん夢見ごこちになっていった。
自分の掘っ立て小屋から遠く遠く離れてしまって、もう帰るにも帰られないという考えが、彼女の小さい胸をからっぽにして、フワッとからだが軽くなるような、これまでまったく経験したことのない一種異様の情感がわいてきた。