夏目漱石 『虞美人草』 石の影に三十日の毒を人知れず吹く夜の蟇と、燃ゆる腹を黒き背に蔵す蠑螈の胆と、蛇の眼と蝙蝠の爪と、――鍋はぐらぐらと煮える。 妖婆はぐるりぐるりと鍋を廻る。 枯れ果てて尖れる爪は、世を咀う幾代の錆に瘠せ尽くしたる鉄の火箸を握る。 夏目漱石の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア