洞窟にはいってから二時間あまり、黒いメフィストは時を忘れ、追われている身を忘れ、地上のいっさいの煩いを忘れ、艶樹の森と、地底世界をどよもす音楽と、歌声と、踊り狂う五面十脚の美しい怪獣とに、果てしもなく酔いしれていたが、ふと気がつくと、またしても、ただならぬ奇怪事が起こっていた。
八方の鏡に映る黒ビロードの人影が、刻一刻、その数を増していくかに感じられた。
はじめのうちはだれも気づかなかったが、こうも人数がふえてきては、もう気づかぬわけにはいかぬ。
洞窟にはいってから二時間あまり、黒いメフィストは時を忘れ、追われている身を忘れ、地上のいっさいの煩いを忘れ、艶樹の森と、地底世界をどよもす音楽と、歌声と、踊り狂う五面十脚の美しい怪獣とに、果てしもなく酔いしれていたが、ふと気がつくと、またしても、ただならぬ奇怪事が起こっていた。
八方の鏡に映る黒ビロードの人影が、刻一刻、その数を増していくかに感じられた。
はじめのうちはだれも気づかなかったが、こうも人数がふえてきては、もう気づかぬわけにはいかぬ。