兔に角奎吉がその堪らなく嫌なことをやらうとした時、(いよいよ俺はやるな。
――何だかそこに第二の奎吉といふものがあつて本來の奎吉には何の申譯けもせずにそれをやり通す、そして本當の奎吉は傍からそれを眺めてゐるといふ樣な想像がふと起つたのである。
彼の弟であるその莊之助は彼の父の外妾の子なのであつたが、その女は莊之助の十歳程の時死んでしまつたのを父は彼を自分の家へ置いて早く一人前にさせて、莊之助の祖母にあたる人間を養ふことが出來る樣にしてやらうと思つて兄弟の仲間入りをさせたのである。
兔に角奎吉がその堪らなく嫌なことをやらうとした時、(いよいよ俺はやるな。
――何だかそこに第二の奎吉といふものがあつて本來の奎吉には何の申譯けもせずにそれをやり通す、そして本當の奎吉は傍からそれを眺めてゐるといふ樣な想像がふと起つたのである。
彼の弟であるその莊之助は彼の父の外妾の子なのであつたが、その女は莊之助の十歳程の時死んでしまつたのを父は彼を自分の家へ置いて早く一人前にさせて、莊之助の祖母にあたる人間を養ふことが出來る樣にしてやらうと思つて兄弟の仲間入りをさせたのである。