芥川龍之介は人間が河童の世界へ行く小説を書いたが、河鹿の世界というものは案外手近にあるものだ。
私は一度私の眼の下にいた一匹の河鹿から忽然としてそんな世界へはいってしまった。
その河鹿は瀬の石と石との間に出来た小さい流れの前へ立って、あの奇怪な顔つきでじっと水の流れるのを見ていたのであるが、その姿が南画の河童とも漁師ともつかぬ点景人物そっくりになって来た、と思う間に彼の前の小さい流れがサーッと広びろとした江に変じてしまった。
芥川龍之介は人間が河童の世界へ行く小説を書いたが、河鹿の世界というものは案外手近にあるものだ。
私は一度私の眼の下にいた一匹の河鹿から忽然としてそんな世界へはいってしまった。
その河鹿は瀬の石と石との間に出来た小さい流れの前へ立って、あの奇怪な顔つきでじっと水の流れるのを見ていたのであるが、その姿が南画の河童とも漁師ともつかぬ点景人物そっくりになって来た、と思う間に彼の前の小さい流れがサーッと広びろとした江に変じてしまった。