そして旱の多かった夏にも雨が一度来、二度来、それがあがるたびごとにやや秋めいたものが肌に触れるように気候もなって来た。
そうした心の静けさとかすかな秋の先駆は、彼を部屋の中の書物や妄想にひきとめてはおかなかった。
草や虫や雲や風景を眼の前へ据えて、ひそかに抑えて来た心を燃えさせる、――ただそのことだけが仕甲斐のあることのように峻には思えた。
そして旱の多かった夏にも雨が一度来、二度来、それがあがるたびごとにやや秋めいたものが肌に触れるように気候もなって来た。
そうした心の静けさとかすかな秋の先駆は、彼を部屋の中の書物や妄想にひきとめてはおかなかった。
草や虫や雲や風景を眼の前へ据えて、ひそかに抑えて来た心を燃えさせる、――ただそのことだけが仕甲斐のあることのように峻には思えた。