一言にして云へば一つの「世態」。
――これは「世態人情」の世態であるが、作者の階級的な立場にも拘はらず、私にはその感じが非常に強かつた。
これには「旦那さま」が「彼」になつたので驚ろいてゐるといふやうな經濟鬪爭の最初のシヨツクにあふ少女を作者が捕へて來たことに、既に題材的な制限があるのであるが、それにしてもなほ、現實を剔抉することの不足、主觀を書き込むことの不足が、この作品にそのやうな印象を與へるやうになつたことは爭へないのである。
一言にして云へば一つの「世態」。
――これは「世態人情」の世態であるが、作者の階級的な立場にも拘はらず、私にはその感じが非常に強かつた。
これには「旦那さま」が「彼」になつたので驚ろいてゐるといふやうな經濟鬪爭の最初のシヨツクにあふ少女を作者が捕へて來たことに、既に題材的な制限があるのであるが、それにしてもなほ、現實を剔抉することの不足、主觀を書き込むことの不足が、この作品にそのやうな印象を與へるやうになつたことは爭へないのである。