路易はまださつきの味のない接吻のことを考へてゐるらしく、「なんだ接吻なんてあんなものか」と言はんばかりの顏をしてゐる。
それが接吻した相手を自分がちつとも愛してなんぞゐなかつたためであるとは知らずに。
さうして路易は自分のこれまでにした唯一の接吻、地震のごたくさまぎれに小さなみすぼらしい娘にしてやつた、あの後味の大へん苦かつた接吻のことなんどを思ひ出すともなく思ひ出してゐた……。
路易はまださつきの味のない接吻のことを考へてゐるらしく、「なんだ接吻なんてあんなものか」と言はんばかりの顏をしてゐる。
それが接吻した相手を自分がちつとも愛してなんぞゐなかつたためであるとは知らずに。
さうして路易は自分のこれまでにした唯一の接吻、地震のごたくさまぎれに小さなみすぼらしい娘にしてやつた、あの後味の大へん苦かつた接吻のことなんどを思ひ出すともなく思ひ出してゐた……。