文豪用例帳

作家別 名言・名文

堀辰雄の名言・名文

堀辰雄は、死と隣り合う場所で、なお生きることの意味を書いた作家である。東京に生まれ、芥川龍之介や室生犀星に学んだ。プルーストやリルケらヨーロッパの文学に親しみ、その方法を日本の風土に移し替えようとした。

婚約者の療養に付き添った日々をもとにした『風立ちぬ』は、高原のサナトリウムで過ごす二人の時間を静かな筆で描く。堀自身も長く結核を患い、一九五三年に没した。

堀辰雄 1904–1953
抒情的で内省的な文体を特徴とする小説家。療養生活やヨーロッパ文学の影響が作品に反映されている。代表作『風立ちぬ』で知られる。

名言・名文

その悲しみを浪費したり、その果てるのを欲したりしてはならない。堀辰雄『心の仕事を』 それはもはや愛の休止符だ。堀辰雄『燃ゆる頬』 彼女の美しさは僕に、よく熟していまにも木の枝から落ちさうな果實のそれを思はせた。堀辰雄『不器用な天使』 むしろ、雪のなかは温かで、なんのもの音もなく、非常に平和だ。堀辰雄『大和路・信濃路』 反ってそんなこの頃のおれの方が余っ程幸福の状態に近いのかも知れない。堀辰雄『風立ちぬ』 それに比べれば、私達はまあどんなに自分の運命を感謝していいのだろう。堀辰雄『楡の家』 或運命がそうやって一つのものから他のものへと絶えず受け継がれるのだ。堀辰雄『菜穂子』 このままもっと苦しめられるようでしたら、私はとても生きておられそうもありませぬ。堀辰雄『ほととぎす』 それはもつと君を人間の悲しみといふものの本質に導いて行かなければならない。堀辰雄『心の仕事を』 彼女はあのとき心の底では、思い切って自分自身を何物かにすっかり投げ出す決心をしたのだ。堀辰雄『菜穂子』 あなたはいつか自然なんぞが本当に美しいと思えるのは死んで行こうとする者の眼にだけだと仰しゃったことがあるでしょう。堀辰雄『風立ちぬ』 人は死ぬ前にはあらゆるものを知り得る、といふことはどうも眞實のやうだ。堀辰雄『レエモン ラジィゲ』 夜になつて 僕の部屋に一人でゐると 僕はあんまり僕になり過ぎるのだ堀辰雄『X氏の手帳』