そして全體の見物席はといへば、二百人位しかはひれないその二階と、それから百人位しかはひれない上の三階と、それだけだつた。
私はいつも三階に上つて見ることにしてゐた。
最初、私がここに通ひ出してゐたときは、私はよく二階のもつとも舞臺に近い席に割り込んでいつて、彼女たちの脚の間から彼女たちの踊るのを見上げるやうにしてゐたが、さうすると、踊り子たちが脚を上げる度毎に舞ひあがる舞臺のひどい埃りを、厭でも吸はなければならなかつたので、それにすつかり閉口して、今度は、三階のもつとも舞臺に近い席から、そしてほとんど踊り子たちの眞上から、彼女らの踊るのを見下すことにしてゐた。