その夜の十二時過ぎ、彼は、ほとんど通行人の途絶えた、そして冷たい影に充たされてゐる、水族館のあたりを、一人でぶらぶらしてゐた。
彼は、すつかり閉め切つてある水族館の二階の窓から、かすかな燈火のやうなものが洩れ、しかも音樂のやうなものまでが聞えてくるので、まだ踊り子たちが稽古をしてゐるのだらうと思ひながら、そこを何となく立ち去りがたく思つてゐたのだ。
彼は、水族館の裏口に近いトタン張りの塀のかげに、身をかくすやうにして、あちらこちらに、或ひは一人、或ひは二三人、男たちの影が佇んでゐるのを認めた。
その夜の十二時過ぎ、彼は、ほとんど通行人の途絶えた、そして冷たい影に充たされてゐる、水族館のあたりを、一人でぶらぶらしてゐた。
彼は、すつかり閉め切つてある水族館の二階の窓から、かすかな燈火のやうなものが洩れ、しかも音樂のやうなものまでが聞えてくるので、まだ踊り子たちが稽古をしてゐるのだらうと思ひながら、そこを何となく立ち去りがたく思つてゐたのだ。
彼は、水族館の裏口に近いトタン張りの塀のかげに、身をかくすやうにして、あちらこちらに、或ひは一人、或ひは二三人、男たちの影が佇んでゐるのを認めた。