私はあまりにも疲れてしまつたし、それに彼女の氣の狂つてゐることも充分に確かめたし、これ以上もし私が彼女に私の注意力のすべてを委ねてゐたなら、恐らく私までも氣が變になつてしまふに違ひないからだ。
私は立止つて、彼女の後姿が土手の上に見えなくなつてしまふまで、それを見送つた後、たうとう踵を返して、鐘ヶ淵の、川蒸汽の船着場の方へ向つて行つた。
夜の明けたのを知らせる川からの冷たい風が、船着場のベンチの上にへたばつて眠つてしまつてゐた私を、しづかに眼ざませた。
私はあまりにも疲れてしまつたし、それに彼女の氣の狂つてゐることも充分に確かめたし、これ以上もし私が彼女に私の注意力のすべてを委ねてゐたなら、恐らく私までも氣が變になつてしまふに違ひないからだ。
私は立止つて、彼女の後姿が土手の上に見えなくなつてしまふまで、それを見送つた後、たうとう踵を返して、鐘ヶ淵の、川蒸汽の船着場の方へ向つて行つた。
夜の明けたのを知らせる川からの冷たい風が、船着場のベンチの上にへたばつて眠つてしまつてゐた私を、しづかに眼ざませた。