それからしばらくすると、僕は北の死んだことに妙な苛立たしさを感じはじめる。
僕はそれがどういふ感情であるのかはつきり解らない。
僕にはそれが恐らく僕のエゴイズムから、――北は死ななくともよかつたのに死んだのであり、そして彼はただ自分の苦痛を彼の周圍の者に(ことに僕に)見せつけたいためにのみ死んだのではないかと考へる僕のエゴイズムから、來てゐるかのやうに思はれたのである。
それからしばらくすると、僕は北の死んだことに妙な苛立たしさを感じはじめる。
僕はそれがどういふ感情であるのかはつきり解らない。
僕にはそれが恐らく僕のエゴイズムから、――北は死ななくともよかつたのに死んだのであり、そして彼はただ自分の苦痛を彼の周圍の者に(ことに僕に)見せつけたいためにのみ死んだのではないかと考へる僕のエゴイズムから、來てゐるかのやうに思はれたのである。