――と、私は東京から此處までの約半日がかりの旅路を思ひやつたのである。
……丁度その日の三時頃、汽車が初夏の山へさしかかり、幾個も幾個も長々とした隧道をくぐり拔け出した時分には、それをひどく心許ながつて、もう一人でなんぞ旅に出て來たことを私は少からず後悔し出してゐた。
――汽車はそんな私には無頓着に、隧道から青葉へ、それからまた隧道へと走りつづけてゐたが、その隧道と隧道との間隙を見つけては、あたかも噴水がほとばしるやうに、無數の青葉の簇りがまぶしい光を浴びながら、私の眼のなかへ躍り込む。
――と、私は東京から此處までの約半日がかりの旅路を思ひやつたのである。
……丁度その日の三時頃、汽車が初夏の山へさしかかり、幾個も幾個も長々とした隧道をくぐり拔け出した時分には、それをひどく心許ながつて、もう一人でなんぞ旅に出て來たことを私は少からず後悔し出してゐた。
――汽車はそんな私には無頓着に、隧道から青葉へ、それからまた隧道へと走りつづけてゐたが、その隧道と隧道との間隙を見つけては、あたかも噴水がほとばしるやうに、無數の青葉の簇りがまぶしい光を浴びながら、私の眼のなかへ躍り込む。