「なんでございますか、毎晩十二時過ぎまで御勉強なさつていらつしやいましたが……」
娘はさう何氣なく云つてしまつてから、急にその自分の云つた言葉にはツと氣がついたやうに見えたが、その時はもう彼女は顏を眞つ赤にしてゐた。
私は誰と話してゐる時でも相手の顏がまともに見られない性分なので、その時も私はその娘と話しながら、眼は絶えずあらぬ方へやつてゐたけれど、私はさう云ふ娘の思ひがけない狼狽をもののけはひで悟る事が出來た。
「なんでございますか、毎晩十二時過ぎまで御勉強なさつていらつしやいましたが……」
娘はさう何氣なく云つてしまつてから、急にその自分の云つた言葉にはツと氣がついたやうに見えたが、その時はもう彼女は顏を眞つ赤にしてゐた。
私は誰と話してゐる時でも相手の顏がまともに見られない性分なので、その時も私はその娘と話しながら、眼は絶えずあらぬ方へやつてゐたけれど、私はさう云ふ娘の思ひがけない狼狽をもののけはひで悟る事が出來た。