さうして、かうやつて月に二三度は、この家を訪ねて、いま病氣で仆れてゐる弘と、こちらの家と、それから自分の家との間に立つて、一人でやきもきしながらすべての用談を一人で果たさねばならないやうな羽目になつた、われとわが身を、何か羽がひじめにせられるやうな思ひでかへり見ないわけにはいかなかつた。
こちらの父の熱心な勤めに最後の決意をうながされて、弘との婚約を承諾するとまもなく、弘は節子とおなじく病氣で仆れたのだつた。
しかし、そんな事ぐらゐは何んでもないと強い決心をして、弘と一しよになるつもりになつてゐる、――さうして、さういふ弘には、いま無くてならないのは、丁度自分のやうな女であることもよく自覺してゐる彼女だつた……