それが彼女の心をとらへた。
それは、いつか見せられた故人のアルバムのなかの數葉の寫眞なんぞともちがつた感じで、彼女の性格の或一面が妙にヴィヴィドに出てゐる、節子の自畫像にちがひなかつた。
「一人でぼんやりしてゐるときは、こんな顏をしてゐるのよ……」さう言ひかけてゐるやうな、空けたやうに、心もち大きく見ひらいた、そのくせ自分自身のことは何もかも呑み込んでゐるやうな聰明さから來るらしい、透明なふかい目ざしが、伸子には何んだか氣もちが好くつて溜らないほどだつた。
それが彼女の心をとらへた。
それは、いつか見せられた故人のアルバムのなかの數葉の寫眞なんぞともちがつた感じで、彼女の性格の或一面が妙にヴィヴィドに出てゐる、節子の自畫像にちがひなかつた。
「一人でぼんやりしてゐるときは、こんな顏をしてゐるのよ……」さう言ひかけてゐるやうな、空けたやうに、心もち大きく見ひらいた、そのくせ自分自身のことは何もかも呑み込んでゐるやうな聰明さから來るらしい、透明なふかい目ざしが、伸子には何んだか氣もちが好くつて溜らないほどだつた。