あれは蘇枋、こつちは金雀兒、それからその隣りはライラックと、――それに答へてくれたのは、結局、二人がかりでその花のありかを漸つと教へたので、そんな花が吹いてゐることにその度にはじめて氣のついたやうな顏をする老いたる父親だつた。
そんな荒れ放題になつてゐる中庭をみながら、伸子は伸子で、そこいら中には何かが一ぱいになつてゐるやうな氣がし、ちよつとそれに手入れをさせてみたらと考へる餘地すら、いつも何もかもがきちんとしてゐないと氣のすまないやうな性分の彼女にさへ無いやうにおもへるのだつた。
伸子はふいと空けたやうな目つきになり出した。