なかなかそんなスポオツ・ドレスなんぞを着るやうなことはなからうかと思へたので、こんなものを頂戴していつたつて、ともおもつたが、何かひよいとした輕い氣もちで自分がそれを着るやうなことでもあつたら、弘はそれを見てきつと苦笑ひしながら、それでも心のうちで一種の言ひ知れぬ滿足を覺えるかも知れない、などとそんなときの弘のいかにも困つたやうな、どことなく子供らしい目つきまで浮べてゐると、そのすこし大きな包みをかかへてゆくことも彼女にはそれほど苦にもならなかつた……
「弘君はこのごろ具合はどうぢやな?
「はあ、大ぶおよろしいやうで……なんですか、來月になつたら、もう輕井澤へ行きたいなんぞと申してをります……」