そのヴェランダにさうやつてゐると、なるほど、まはりの生籬に隱れて、道の方からは殆ど彼等は見えさうもなかつた。
さうしてその無數の野茨の花のにほひは、まるでその生籬自身が呼吸でもしてゐるやうに、彼等のまはりまでときどき匂つてきたり、又あるかないかになつて消えていつたりしてゐた。
「あら……」と彼女は、丁度彼等のまん前の、生籬の茂みの中をさつきから啼き聲も立てずにしきりに不安さうに枝移りしてゐる一羽の小鳥にそのときはじめて氣がついて、肩を竝べてゐる彼に指さした。
そのヴェランダにさうやつてゐると、なるほど、まはりの生籬に隱れて、道の方からは殆ど彼等は見えさうもなかつた。
さうしてその無數の野茨の花のにほひは、まるでその生籬自身が呼吸でもしてゐるやうに、彼等のまはりまでときどき匂つてきたり、又あるかないかになつて消えていつたりしてゐた。
「あら……」と彼女は、丁度彼等のまん前の、生籬の茂みの中をさつきから啼き聲も立てずにしきりに不安さうに枝移りしてゐる一羽の小鳥にそのときはじめて氣がついて、肩を竝べてゐる彼に指さした。