何んとかして早くそれが見たいので、こんどは二人で林道まで出ていつて、反對の側からそれを搜してみると、それがつい鼻のさきに懸つてゐるのに、こんどは道がそこのところだけ凹んでゐて、いくら背伸びをしてもやつぱり目が屆かない。
何しろ野茨だから、棘が一ぱいあるので、枝をたぐりよせることが容易に出來ないのである。
そのとき彼はふいと手にしてゐた秦皮のステッキに氣がついて、それを持ち變へて、その握りのところにその鳥の巣の懸つてゐる白い花の一ぱい咲いた枝ごとそつと引き寄せて、爪先き立つたら、やつとその巣の中がのぞけた。