「こんなところに巣があるなんて、却つて誰も氣がつかないのかも知れないわね……」彼女はそれを見て、すこし安堵したやうにさう言つた。
「…………」彼はどうだか分るもんかと云つたやうな顏を、意地わるさうにわざとして見せるのである。
それから暫くしてから、こんどは反對の、集會堂の方から、――年とつた外人夫婦が腕を組み合つて、しかしお互に上體を眞直にしたまま、とつとと歩きながらそのコッテエヂの前を通り過ぎて灌木の中に消えていつた。
「こんなところに巣があるなんて、却つて誰も氣がつかないのかも知れないわね……」彼女はそれを見て、すこし安堵したやうにさう言つた。
「…………」彼はどうだか分るもんかと云つたやうな顏を、意地わるさうにわざとして見せるのである。
それから暫くしてから、こんどは反對の、集會堂の方から、――年とつた外人夫婦が腕を組み合つて、しかしお互に上體を眞直にしたまま、とつとと歩きながらそのコッテエヂの前を通り過ぎて灌木の中に消えていつた。