それは私にはいかにもこの村らしい――それまで昔の俤もないやうな廢驛になり果ててゐたのが、近頃急に避暑地として發展し出してゐるこの村らしい插話の一つに思へたものだつた。
……さういふ噂はともかくとして、その日からと云ふもの、一夏ぢゆう、その木は私を魅してゐた。
毎日、私は少年時の思ひ出に充ちた小説を書き續けながら、ときどき筆をおいては、窓の中から、絶えず花をつけてゐるその木を物置小屋ごしにぼんやりと眺めてゐた。
それは私にはいかにもこの村らしい――それまで昔の俤もないやうな廢驛になり果ててゐたのが、近頃急に避暑地として發展し出してゐるこの村らしい插話の一つに思へたものだつた。
……さういふ噂はともかくとして、その日からと云ふもの、一夏ぢゆう、その木は私を魅してゐた。
毎日、私は少年時の思ひ出に充ちた小説を書き續けながら、ときどき筆をおいては、窓の中から、絶えず花をつけてゐるその木を物置小屋ごしにぼんやりと眺めてゐた。