……途端に、その林のすべてのものが不意に私には何か前から親しみ深いもののやうに思へ出した。
それから私は構はずにその見知らない道をよく知り拔いてゐる道でも歩くやうに歩いてゐるうちに、それがますます不安なくらゐ草深くなり出したと思ふ間もなく、突然、そんな墓場が私の前に現はれ出したのだつた……
あつちにも一かたまり、こつちにも一かたまりといふ風に、家々の墓をそれぞれ取圍むやうにしながら、大きな下枝をすこし垂れ氣味にさへ擴げてゐる古い樅の上方で、私の知らない小鳥たちが私にも恐れずに啼きながら、しきりに枝移りしてゐるのに半ば注意しながら、私は半ば足もとの、それらの多くは墓とは名ばかりのやうな石塊に注意してゐた。