……それもまた、そのままで、何とも美しい、小さな人生であるのではないか?
……さうやつて靜かに、誰にも知られずに、その長い仕事に勵みながらそれを完成し得ずに、しかもいささかも心殘りなく死んで行つた者を、いま私が再び自分の生にまで呼び戻して、何か心殘りのやうなものを彼女自身にも感ぜしめようとしたのは何といふ罪深いことだつたらう!
……さういふお前自身よりもお前についてはよく知つてゐるかも知れないお前の姉のところに、かうやつて私が會ひに來ながら、しかも會はずに歸つて行くのは、私達には一番自然なことだつたのかも知れない。