……さうして僕の書いたものからだね、君がもし何か求めようとするなら、そこに描かれた人生そのものからでなく、ただね、それがそこで得てゐる靜かな姿、――さういふものから或る慰藉を君一人でもつて受取るやうに、君自身を仕込むことだ。
……それには僕なんぞよりも、ずつとずつとえらい奴のものを、まあ、いま言つたやうなリルケの書いたものなんぞを讀んで、お手本にするがいいとも。
さうして僕なんぞの書いてゐるものは、さう、君がいま僕を見ながらさうやつて微笑んでゐる……恐らくさういふ微笑は、君が僕に會ふまで、かうやつて僕に會つて話す場面をいろいろと想像してゐた間は、君には考へもつかなかつたやうなものだらうけれど、……そんな微笑を泛べながらでも讀んでくれるのが一番僕にとつちやあ有難いんだがなあ……」