「君みたいな、そんな二十三やそこいらで、もう人生の傷といふ傷を受けてしまつたやうな氣もちになつて、背をすくめたままぢつとしてゐるより外はないだらうかなどと考へ出してゐるやうな人は、こんな僕みたいな人間よりも、もつと單純な人間――さう、戀をしてゐるやうな女友達が君にあるかい、もしあるのなら、さういふ人にもつと接する方がいいね」
「……」女は自分の前をぢつと見つめたきり、何も答へないで、例の不思議な微笑をちらつかせてゐるばかりだつた。
丁度その時向うから學校の歸りらしい女學生たちが一塊りになつて、私達の方へ近づいてきた。