死者に對する考へ方のやうなものが私達祖先と西洋人とはこんなにも違つてゐるのだらうか?
私なんぞは、死者といふものに對する考へ方にもかなり西洋の詩人から多くの影響を受けてきたつもりだつたものの、ともすれば死者たちはもつと無に近い暗い感じのものに傾きがちだつたのだ……さう云へば、さつき私達とすれちがつた墓守りらしい男までが、明るい色のジヤケツトかなんぞ着込んで、小さな犬を先立てて、口笛を吹きながら、私達へも輕い會釋をしていつたつけ……
「この人は私と同じ年で死んでゐるわ――」一番隅つこにあつた、見すぼらしい、古い黒ずんだ墓石の上にかがみ込むやうにして、もう磨滅しかけた碑銘を讀み分けてゐた女が突然言つた。