といふアリエルの歌が聽え、それと共に、可愛らしい精靈の一群が空に漂ひ出す第一幕劈頭の「優雅な地方」、それから又、「澤山褒められもし、毀されもしたヘレネがわたくしです」といふ有名なヘレネの獨白で始められる第三幕などを、私は心臟をときめかせながら讀んだ。
それから私は『詩と眞實』に移つて行つた。
さうしてやつとその最後の章まで來かかつたとき、突然、ゲエテが神異力なるものを持ち出してきて、その生涯中、をりをり彼の精神を左右したところの、神のものとも惡魔のものともつかぬやうな、不可思議な力を説明してゐるところを讀み、私は思はずはつとした。