しかし、運よく「かげろふの日記」だけは脱稿して、雜誌社へ送つてしまつた後だつたので、まあ好かつたやうなものの、その續きを書くためにいろいろ取つておいたノオトや、書き入れをした本や、それから澤山のリルケの本など、何もかも一ぺんに失つてしまつたのはいかにも殘念ですが、まあ、この冬中うんと仕事をして、取り返せるものだけでも取り返して見せませう。
いま輕井澤の旅舍に避難してをりますが、この冬ぢゆう或知人の別莊を借りられる事になりましたので、あすからそちらへ引き移ります。
一しよに燒け出された野村君も、たぶん僕とこの冬をこちらで過す事になるでせう。