(こなひだ大雪の日に二人でその教會の雪をかぶつた美しい尖塔を見上げてゐたら、そこの神父さんにつかまつて日曜の彌撒に來なさいと云はれたので――)御存知の、あのアントニン・レイモンドの建設になる、瑞西の山間の村にでもありさうな、入口に聖パウロの像の立つてゐる小さな教會の方です。
教會には獨逸人らしい中年の婦人が一人、黒いマントにうづくまつてゐたつきり、――ちよつと顏を出すだけですぐ出て來ようと思つた僕達も、入つてみるとさうもならず、小一時間ばかりも寒い思ひをして、隅つこの藁椅子にかしこまつて坐つてゐました。
お彌撒がやつとすんで、その婦人が俯向きがちに懺悔室らしいのにはひつて行くのを見てから、僕達も立ち上つて神父さんにちよつと挨拶をして出て來ました。