秋晴れの日などに、かすかに煙を立ててゐる火の山をぼんやり眺めながら、貧しい旅びとらしいものがそこに休んでゐる姿を今でもときどき見かけることもあるのだつた。
おえふの生れた家、牡丹屋は、もとはこの宿の本陣だつた。
何もかも昔のつくりで、二階はいかめしい出格子になり、軒さきに突きでた木彫りの蒼龍にも、まだ古さびた色が何處やらに、ぼんやりと殘つてゐた。
秋晴れの日などに、かすかに煙を立ててゐる火の山をぼんやり眺めながら、貧しい旅びとらしいものがそこに休んでゐる姿を今でもときどき見かけることもあるのだつた。
おえふの生れた家、牡丹屋は、もとはこの宿の本陣だつた。
何もかも昔のつくりで、二階はいかめしい出格子になり、軒さきに突きでた木彫りの蒼龍にも、まだ古さびた色が何處やらに、ぼんやりと殘つてゐた。