おえふの生れた家、牡丹屋は、もとはこの宿の本陣だつた。
何もかも昔のつくりで、二階はいかめしい出格子になり、軒さきに突きでた木彫りの蒼龍にも、まだ古さびた色が何處やらに、ぼんやりと殘つてゐた。
おえふたちは小さいときから、この生れた家を離れたきりでゐたのだつた。
おえふの生れた家、牡丹屋は、もとはこの宿の本陣だつた。
何もかも昔のつくりで、二階はいかめしい出格子になり、軒さきに突きでた木彫りの蒼龍にも、まだ古さびた色が何處やらに、ぼんやりと殘つてゐた。
おえふたちは小さいときから、この生れた家を離れたきりでゐたのだつた。