何もかも昔のつくりで、二階はいかめしい出格子になり、軒さきに突きでた木彫りの蒼龍にも、まだ古さびた色が何處やらに、ぼんやりと殘つてゐた。
おえふたちは小さいときから、この生れた家を離れたきりでゐたのだつた。
――もともと、おえふの父の草平といふ人は、郡はおなじでも、ここから五里ほど離れた或村の赤屋敷といはれてゐる舊家の出で、牡丹屋とは血つづきだつたが、此の村の人ではなかつた。
何もかも昔のつくりで、二階はいかめしい出格子になり、軒さきに突きでた木彫りの蒼龍にも、まだ古さびた色が何處やらに、ぼんやりと殘つてゐた。
おえふたちは小さいときから、この生れた家を離れたきりでゐたのだつた。
――もともと、おえふの父の草平といふ人は、郡はおなじでも、ここから五里ほど離れた或村の赤屋敷といはれてゐる舊家の出で、牡丹屋とは血つづきだつたが、此の村の人ではなかつた。