それから二三年の間といふもの、おえふの心痛には、殆ど量り知れないものがあつたはずだ。
――だが、みたところ、おえふは相變らずもとの儘のおえふでゐた。
その春ごろ、東京から歸つてきた弟の五郎は、やつと村に落ちつくやうになつても、すこしも家業に身を入れず、夏には學生たちを誘つて小諸へ酒をのみにいつたり、冬は冬で、獵に夢中になり、ジャックといふ犬をつれて出たまま、何處へ獵にいくのか、二日も三日も歸つて來ないことがあつた。
それから二三年の間といふもの、おえふの心痛には、殆ど量り知れないものがあつたはずだ。
――だが、みたところ、おえふは相變らずもとの儘のおえふでゐた。
その春ごろ、東京から歸つてきた弟の五郎は、やつと村に落ちつくやうになつても、すこしも家業に身を入れず、夏には學生たちを誘つて小諸へ酒をのみにいつたり、冬は冬で、獵に夢中になり、ジャックといふ犬をつれて出たまま、何處へ獵にいくのか、二日も三日も歸つて來ないことがあつた。