――」おえふはさう考へて、急に何かに愕かされるやうな氣もちになることがある。
考へてみると、十二のときに病氣をしてから、いつまでもその日の儘の心もちで、自分にすつかり甘え切つてゐる初枝を相手にして暮らしてきたせゐか、自分までが一しよにその日から殆ど年をとるのをも忘れてしまつてゐたかのやうだつた。
おえふには、その日から後の事はなにもかもついこなひだの事のやうに思へる代り、それより先きにあつた出來事はすべてがもう夢の中のやうに思へるばかりだつた。
――」おえふはさう考へて、急に何かに愕かされるやうな氣もちになることがある。
考へてみると、十二のときに病氣をしてから、いつまでもその日の儘の心もちで、自分にすつかり甘え切つてゐる初枝を相手にして暮らしてきたせゐか、自分までが一しよにその日から殆ど年をとるのをも忘れてしまつてゐたかのやうだつた。
おえふには、その日から後の事はなにもかもついこなひだの事のやうに思へる代り、それより先きにあつた出來事はすべてがもう夢の中のやうに思へるばかりだつた。