おえふはそのとき心のなかでこんな事を考へ出してゐた。
――いまこそ弟の病氣のおかげで本家との問題が小康を得てゐるものの、いつまたそれが再燃して、自分たちを劫かすやうになるか分からない、若しかして自分たちがこの家を手放なさなければならないやうな羽目にでもなつたりするのよりか、一そのこと、その前にこの牡丹屋がひとりでにさうやつて崩壞して自分たちも一しよに死なれたらいい。
「そんなことをこはがつてゐた事には、お前……」
おえふはそのとき心のなかでこんな事を考へ出してゐた。
――いまこそ弟の病氣のおかげで本家との問題が小康を得てゐるものの、いつまたそれが再燃して、自分たちを劫かすやうになるか分からない、若しかして自分たちがこの家を手放なさなければならないやうな羽目にでもなつたりするのよりか、一そのこと、その前にこの牡丹屋がひとりでにさうやつて崩壞して自分たちも一しよに死なれたらいい。
「そんなことをこはがつてゐた事には、お前……」