そしてそのちよつとばかし氣取つた横文字の脇に、これはまたいかにもお粗末な日本字で「氷ト花アリ」と小さく書いてあるのまで眼に入れると、なんだかかう私は頸卷でもしたくなつて來ます。
さう、氷といへば、――いつかあなたと村からずつと遠くまで散歩に待つた時、向うの草原の眞ん中にしやれた藁屋根のシャレエらしいものが一つぽつんと立つてゐるのを見て、「やあ、あんなところにも別莊があらあ」とびつくりしたことがあつたでせう。
ところが、この間、私があのへんを一人で散歩をしてゐるうちに、思ひがけずその藁屋根のシャレエの前へ出てしまつたら、それは何と氷室だつたのです。