赤あかと夕燒けのした空と、その反射で窓硝子だけをきらきら光らせながら眞白に雪をかぶつてゐる一軒のシャレエと、裸かになつた二三本の枯木と、それからそんな雪道をこちらに背中を向けて歩いてゆく主人と犬と。
……その晩、私が宿屋の爐ばたで(もうこちらでは爐を切つてゐるのです)、その帳面のザラザラした紙の上に鉛筆でせつせとノオトをつけてゐたら、まだ私とはそんなに年も違はないのにリウマチスで足の不自由になつてゐる主人が、私のそばにゐざり寄つて來ました。
そこで帳面を伏せて、何の氣なしに表紙の繪に見入つてゐたら、主人がそばから「それは何處いらでせうね。