下の村からは、朝霧の中に、そんな別莊の赤い屋根や青い屋根などがまるで繪ハガキに貼られた外國の郵便切手のやうに見えることもあります。
最初は外人といふものは、さすがに思ひ切つたところに別莊を建てるもんだなと感心してゐましたが、聞いて見ると、それは何も眺めがいいからといふためではなく、以前は毎年のやうに大きな山海嘯があつて、村のなかにあつた別莊などはいくつも流されたので、だんだんそんな丘の上のはうに建てるやうになつたのださうです。
毎朝、自轉車に乘つた少年達が、手紙だの、花だの、麺麭だの、野菜などを、そんな丘の上まで運んで行きます。