それから、いつも笑ふと眞白な齒の見える若い奧さんのゐる、ドイツ人のドクトルが新しく引越していつた別莊では、そのヴェランダの手すりまでがすぐ眞白にペンキを塗られてしまひました。
それに引き代へ、そのお隣りの、いまにもヴェランダのこはれさうになつた荒れ果てた古い家には、もうすつかり齒の拔けたよぼよぼの老孃が、それもたつた一人きりで、いささか魔法使ひのお婆さんめいた暮らしをしてゐます。
又、この村の土着の人々の中には、彼等の無智と外人の移植した文明とが混んがらかつて、隨分頭のとんちんかんに出來上つてゐる者もゐます。