なんでも歐洲大戰中ずつと、ドイツ人ばかりでこの森に集つて、他の部落とは全く沒交渉に暮らしてゐたさうですが、その時他の外人たちがこの森にそんな綽名をつけたのだと云ふことです。
それなりずつとこの森がドイツ人の部落みたいになつてしまつたやうでして、そのせゐか、私が散歩がてらその森の中にはひつて行くと、いつも熊笹の中から、嗄れた叫び聲をあげながら、跣足で飛び出してくる小さな子供たちの感じも、なんとなく野蠻です。
或る夏、この森に何處から迷ひ込んできたのか、ストリンドベルクといふ名前の五十がらみの瑞典人が、一人暮らしをしてゐたこともあります。