――實はかういふ私もその物語の筋などはすつかり忘れてしまつてゐるのですが、唯、その雰圍氣のやうなものだけははつきりと頭に殘つてゐるのです。
(一體、小説なんていふものはその雰圍氣だけが眞實なのではないでせうか?
で、その雰圍氣を中心にして、私の朧ろげな記憶を辿つて見ますと、それはなんでもスウエデン戰爭を背景にした物語で、ボヘミアの山岳地方にある大きな森のなかの城で、ときをり遠くに銃聲などを聞きながら、老人と女達だけで、氣づかはしげに暮らしてゐる。
――實はかういふ私もその物語の筋などはすつかり忘れてしまつてゐるのですが、唯、その雰圍氣のやうなものだけははつきりと頭に殘つてゐるのです。
(一體、小説なんていふものはその雰圍氣だけが眞實なのではないでせうか?
で、その雰圍氣を中心にして、私の朧ろげな記憶を辿つて見ますと、それはなんでもスウエデン戰爭を背景にした物語で、ボヘミアの山岳地方にある大きな森のなかの城で、ときをり遠くに銃聲などを聞きながら、老人と女達だけで、氣づかはしげに暮らしてゐる。