そしてそれが氣の小さな私を何かはらはらさせるほどだつたのだ。
さう云へば、その白衣の少女ばかりではない、私の知つてゐた昔の少女といふ少女が、今の少女とは比べものにならない位、少女自體であつて、それ以上でもなく、以下でもなく、ただ少女だけの知ることのできる幸福をみんなそれぞれに知つてゐたやうな氣がするが、昔の少女たちよ、君たちはどう思ふか?
昔の少女の一人を思ひ出すと、それと一しよになつて昔私の知つてゐた少女といふ少女が殘らず浮んでくる、――さういふ少女を一人だけ切り離しては思ひ出せられないので、私はそれ等の少女たち全部に呼びかけながら、私は昔は得意さうにしてゐたパイプをこの頃はいかにもつまらなさうに啣へたまま、倒れてゐる藤棚の下をくぐり拔けて庭の中へ下りて行つた。