夏目漱石 『虞美人草』 色も全く青いとは云えぬ。 美濃紙の薄きに過ぎて、重苦しと碧を厭う柔らかき茶に、日ごとに冒す緑青を交ぜた葉の上には、鯉の躍った、春の名残が、吹けば飛ぶ、置けば崩れぬ珠となって転がっている。 ――答をせぬ藤尾はただ眼前の景色を眺める。 夏目漱石の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア